税理士という仕事をしていると、節税を求めらることが多いです。
経営者としては税金は払いたくないという気持ちがあるからでしょう。
でも、税金って払わないと会社の財務基盤は強くならないんですよ。
過度な節税は資金繰りを悪化させる
節税を求める経営者は非常に多いです。
この節税策を求めて税理士へ依頼をしてくる経営者もいらっしゃる程です。
しかし、必要な節税と過度な節税があることは知っておくべきだと思います。
節税と聞くと大体の方が想像できると思いますが、経費を増やすことになります。
利益を減らすには経費を増やすしかない。
はい、その通りですね。
でも、その経費を増やすには、その分お金が出ていくことになりますよね。
1,000万円の経費を増やしたいとすると、1,000万円のお金が出ていくことになります。
その1,000万円で得られる節税額は、実行税率を33%と仮定すると、330万円です。
この1,000万円が事業に本当に必要で、かつその時期に支払うべきものだったのであれば何も問題ありません。
問題なのは、必要でなかったり、必要であっても「今期」支払う必要はないものを支払ってまで節税を求めてしまう場合です。
本来であれば来期に少しずつ支払えば良いものを、まとめて今期に支払うと仮定しましょう。
決算直前の地代の年払変更が典型例ですね。
すると、今期経費が一気に増えると共に、資金が一度に減ります。
翌期の事業に投資できる資金が一気に1,000万円も減ることになります。
そして怖いのが年払いは継続しなければなりません。
つまり、翌年度の決算前にも年払いが発生します。
その時に利益が出ていなくてもです。
利益が出ていないのに年払いをするということは、借入をしないとできませんよね。
その時に銀行から借り入れができないとなるとどうでしょう。
想像するだけでもぞっとしますよね。
年払いという一度きりの節税に意識を向け過ぎてしまったための資金繰り悪化の典型例です。
年払いをせずに、きちんと適正額の税金を納めていれば、手元に670万円の資金が残ります。
この資金は当然事業に再投資できます。
これにより利益を生み、そこから税金を納め、残りをまた事業へ投資する。
この繰り返しにより、利益が出ている健全企業となり、銀行融資も受けやすくなる。
財務基盤は徐々に強くなっていきます。
勝負時に銀行融資を受けられるので事業拡大のチャンスをつかめます。
税金を払いたくないというお気持ちが過度に強い経営者は、必ずと言って良いほど資金繰りに苦しみます。
税金を払わないことが目的になってしまい、手元に資金が残らなくなり、どんどん資金繰りを悪化させます。
節税はあくまで会社利益を最大化するための手段であると認識し、利益を出して素直に喜び、笑顔で税金を納めましょう。
税金は必要経費と考えるべき
納税を嫌う気持ちが生まれるのは、納めた税金が経費にならないからなんですよね。
利益に対して課される法人税や所得税は、経費として認められません。
だから余計に納税を嫌ってしまうんですよね。
経費にならないけど、事業には必要な経費であることを認識しなければなりません。
経営者の意識の問題です。
だから難しいんですよね。
経費になればもう少し納税意識は高くなるのでしょうが、法人税や所得税は、利益に対して課されるので、儲けから支払うことになります。
それをまた経費にするというのはなんだか変ですよね。
納税額を経費に入れるなら、最初からその分税率下げとけば良いじゃんって話になります。
つまり、その下げた後の税率が今の税率だと考えるしかありません。
企業が目的とするのは、利益の最大化、そして資金の最大化です。
簡単に言うと、儲けることです。
儲けるということは利益を出すことです。
利益を出して、そこから納税をし、残りが資金として溜まります。
その繰り返しで企業は強くなります。
財務基盤を強くするには納税は欠かせないのです。
納税しなければ強くなれません。
基盤を強くするために税金は必要となる経費なんですよね。
経営者にこれを理解して頂くように税理士として適正な納税を促していきたいと思いますね。
税理士こそ率先して納税するべき
税金は必要経費ですと言葉で言うのは簡単ですが、これを実体験をもって説明することが重要だと思っています。
だからこそ税理士は納税をするべきだと思っています。
税理士ゆえに節税策は色々思いつきます。
ですが、あえて自らの基盤を強化するために節税ばかりせず、きちんと納税するべきです。
納税をしながら基盤を強化し、実体験を基礎にアドバイスできるよう、税理士こそ納税意識を高く持つべきかなと思います。
【編集後記】
4時20分起床。ルーティーン後に仕事。
今日は午後からセミナー受講と訪問が1件。
午前中はカフェで仕事をしようかと。
【家族日記】
昨日は家族でお刺身&お寿司パーティー。
自宅でやるお寿司パーティーってなんか好きで、結構やっています。
子供たちもいつもより多めに食べてくれます。
楽しみながら食べるのって大事ですね。