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2021年7月9日 / 最終更新日時 : 2021年7月8日 miyagizeirishi 01 会計・税務・経営

不動産を時価より低い金額で同族会社へ譲渡した場合の盲点

同族会社の代表やその親族が所有する不動産を法人へ譲渡する。

よくある話ですよね。

その不動産の譲渡には売る個人と買う法人にそれぞれ課税関係が生じます。

ここまではなんとなく想像できますよね。

では、どの金額に何の税金がかかるのか。

そこを整理していきたいと思います。

売った個人、買った法人、それ以外に他の株主へも税金がかかることがあるので、注意が必要です。

ここが盲点ですね。

【 目次 】

    • 売った個人の課税関係
    • 買った同族会社の課税関係
    • 盲点は「みなし贈与課税」
    • まとめ
  • 関連記事

売った個人の課税関係

まずは売った側である個人の課税関係について整理していきたいと思います。

売る相手は同族会社、つまり自分が経営する会社または親族が経営する会社です。

通常通り「時価」で売るのが嫌だな。

安く売っちゃえ、って考えたくなるのもわかります。

そこでちょっと調べたことがある方ですと、「時価の2分の1未満」というキーワードが思い浮かぶかもしれません。

ネットではよくこのキーワードが出てくるのではないでしょうか。

時価の2分の1未満で譲渡した場合には、時価で譲渡されたとみなすとされていると書かれている。

ならば、時価の2分の1以上で売れば大丈夫なんだな。

そう考えてしまう方がいらっしゃいます。

そして時価の2分の1以上の価額で法人へ譲渡したとしましょう。

このとき、売った側である個人には譲渡所得税がかかります。

ここまでは予想通りですね。

問題は譲渡所得税が課税される所得金額の計算。

例えば、時価5,000万円の土地を2分の1以上の金額である、3,000万円で同族会社へ売ったとしましょう。

その土地の取得価額は仮に1,000万円とします。

譲渡費用はなしで長期譲渡と仮定すると、予想されている譲渡所得税は下記の計算になるでしょう。

 ( 3,000万円 ー 1,000万円 ) × 15.315% =3,063,000円

しかし、実際には、次のように課税されるリスクがあります。

 ( 5,000万円 ー 1,000万円 ) × 15.315% =6,126,000円

え?

時価の2分の1以上の価額で売ってるのになぜ時価で売ったことにされるの?ってなりますよね。

実は、このように課税することができるという「所得税基本通達59-3」という規定が存在します。

そこには、時価の2分の1以上でも同族会社の行為計算否認に該当する場合には時価で売ったこととして課税しますという規定があります。

同族会社の行為計算否認?

専門用語なのでわかりにくいですよね。

簡単に言うと、正常な取引とは異なる取引がされた場合には、税務署長の裁量によってその行為を否認できますということ。

つまり、今回の取引の場合には、時価よりも低い価額で売った取引を認めませんということ。

認められないということは、時価で売ったことにしますよってことですね。

必ず時価での譲渡とされるのではなく、税務署長の判断で時価譲渡とされるリスクがあるということです。

規定では「税務署の判断で決めることができる」とされています。

でも、時価より低い金額で、自身あるいは親族が経営する同族会社に売ったら、その取引って変じゃない?ってなりますよね。

だって時価より低いんですから。

なので、不動産を時価より低い金額で同族会社に譲渡した場合には、たとえ2分の1以上であっても、時価で譲渡所得税が課税されると思っておいた方が良いでしょう。

買った同族会社の課税関係

それでは買った同族会社の課税関係を見ていきましょう。

同族会社の課税関係は単純です。

時価と実際の買取価額との差額を「受贈益」として計上します。

つまり、先程の譲渡価額で考えてみると、

 時価5,000万円 ー 譲渡価額3,000万円 = 2,000万円 

を受贈益として計上し、法人税が課税されることになります。

譲受側においては、時価の2分の1未満か以上かは関係ありません。

時価との差額を受贈益として法人税課税。

考え方は単純ですよね。

盲点は「みなし贈与課税」

ここまでの課税関係では、低額で売った側である個人は時価課税されるリスクがある。

低額で買った側である同族会社では受贈益課税される。

ここで課税関係が終わるかのように思いますが、もう一つ盲点があります。

売った個人から、同族会社の売った個人以外の株主へのみなし贈与課税です。

はっきり言って意味不明ですよね。

時価よりも低い価額で不動産を購入すると、同族会社の株価が上がるという現象が起こります。

つまり、不動産の売買に全く関わっていない株主がいたとすると、その株主が持つその同族会社株式の価値が上がるのです。

その上がった価値の分だけ贈与を受けたとみなされ、贈与税が課税されることになります。

なぜ株価が上がるのか。

非上場株式の株価の算定方法は非常に複雑なのでここでは割愛しますが、イメージだけ述べようと思います。

先程の不動産の例でいきましょう。

時価5,000万円の土地を3,000万円で同族会社に譲渡したと仮定しましょう。

その場合、同族会社としては資産として土地5,000万円が増えるのに、購入資金として現預金は3,000万円しか減りません。

差額は受贈益として法人税が課税されますので、仮に30%の法人税がかかるとしましょう。

すると、2,000万円の30%は法人税として納税するので、現預金が600万円減少します。

すると70%の1,400万円だけ純資産が増えたことになりますよね。

純資産は資産から負債を控除した残額です。

株価の算定では純資産を株数で割る計算式となりますので、その純資産が増えると当然株価も上がります。

なんとなくイメージできますかね。

ざっくり言うとこんな感じです。

イメージしにくいかな。

売買に全く関わっていない株主へも課税関係が生じる恐れがあるため、低額譲渡には十分注意する必要があります。

仮に不動産を低額で同族会社に譲渡することを検討される場合には、同族会社の株価算定は必ず行うようにしましょう。

みなし贈与課税されて納税が生じるかどうか。

生じないケースとしては、みなし贈与とされる額が暦年贈与の110万円以下というケースがあります。

110万円以内であれば非課税枠内での贈与となり贈与税はかかりません。

まとめ

不動産を低額で同族会社に譲渡する場合の課税関係について書いてみました。

売った個人、買った法人、売買に全く関わっていない他の株主。

特に全く関わっていない株主としてはいきなり贈与税が課税されたらたまったもんじゃありません。

売る個人の譲渡所得税を低く抑えるための低額譲渡かもしれませんが、時価課税のリスクや同族会社での受贈益課税、さらには他の株主へのみなし贈与課税。

これらの課税関係をすべて考慮して取引する必要がありますね。

    

【編集後記】
今週は非上場株式の株価算定をがっつり。
親族からの賃借不動産もあり、借地権の計上など考慮すべき点も多々。
久々に税理士会の会場研修にも参加。
久しぶりに会う先生もいて、オンライン研修も良いけど、やっぱり会場研修も良いもんだなと。

【家族日記】
娘の授業参観がありましたが、保護者の参加は1名まで。
泣く泣く参加できず。
次回は保護者2名参加OKになることを祈るばかりです。

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