損益分岐点というワード。
一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
そのイメージ通り、損と益が交わる点。
つまり、プラスマイナス0となる点を指します。
利益が0であり、損失も0。
自社における損益分岐点となる売上高を知っておいて損はありません。
小規模事業者はどんぶり勘定。
なんとなくのイメージで経営されている方も多いのではないでしょうか。
まずは現状、売上がいくらになったら赤字に転落するのか。
それを知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
まずは経費を変動費と固定費に分ける
損益分岐点売上高を計算するには、まず経費を変動費と固定費に分ける必要があります。
変動費?固定費?ですよね。
イメージとしては、売上が増えたら増える経費が変動費。
売上が増えても減っても変わらないのは固定費。
自社の経費を思い浮かべてみてください。
売上が増えるとそれに合わせて増える経費ってありますよね。
製造業であれば、材料費や外注費なんかは増えますよね。
運送業であれば、燃料代が増えますよね。
反対に、売上が増えても減っても変わらない経費もあります。
事務所家賃なんてのは変わりませんよね。
減価償却費だって変わりません。
ここで問題になってくるのは、どっちとも言えない経費です。
これが曲者ですが、必ず存在します。
電気代や水道代は基本使用料は固定費ですが、使用料に応じて増える部分は変動費ですね。
人件費もアルバイト代であれば、仕事量が増えれば増加しますので変動費かなって思います。
これらをひとつひとつ細かく分類するのが理想ではありますが、現実的ではありません。
実務上は固定費に含めちゃって良いと思います。
ざっくりでも損益分岐点売上高を知るうえではざっくりいきましょう。
損益分岐点売上高を計算してみよう
経費を変動費と固定費に分けられたら、次の計算式に当てはめてみましょう。
損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率
=固定費÷(限界利益÷売上高)✕100%
はい意味不明。
限界利益率???限界利益???ってなりますよね。
当然です。
私も言葉に慣れるまで???でした。
ひとつずつ見ていきましょう。
まず限界利益とは何か。
利益って売上高から経費を引いて計算しますよね。
売上高-経費=利益(又は損失)
その経費を変動費と固定費に分けましたよね。
売上高-変動費-固定費=利益(又は損失)
ここまではなんとなくできそうですね。
そこから式を少し分解していきます。
売上高-変動費=固定費+利益(又は損失)
固定費を右辺に移動させただけです。
はい、これが限界利益です。
つまり、売上高から変動費を引いた残額を限界利益といいます。
言い換えると、固定費と利益の合計額ですね。
限界利益が求められたら、売上高に占める限界利益の割合を求めます。
限界利益÷売上高✕100%
限界利益は「売上高-変動費」でしたので、
限界利益率=(売上高-変動費)÷売上高✕100%
=(売上高/売上高-変動費/売上高)×100%
=(1-変動費/売上高)×100%
=(1-変動費÷売上高)×100%
実にわかりづらい。
数字で見ていきましょう。
仮に売上高が1億円、変動費が6,000万円、固定費が3,000万円、利益が1,000万円とすると次のようになりますね。
限界利益=売上高-変動費
=1億円-6,000万円
=4,000万円
限界利益率=限界利益÷売上高✕100%
=4,000万円÷1億円✕100%
=40%
限界利益率は40%となります。
この数字を例として損益分岐点売上高を計算していると、
損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率
=3,000万円÷40%
=7,500万円
となります。
つまり、売上高が7,500万円あれば、利益0円となり赤字にならない。
利益が0円だとすると、売上高から変動費を引いた金額と固定費が一致することになりますよね。
売上高-変動費=固定費+0円
ですから当然です。
検証してみましょう。
ここで変動費を求めるには、変動費率が必要になります。
つまり、売上をあげるのにいくらの変動費がかかっているかの割合を求めることになります。
変動費÷売上高
この式どこかで見たような。
そう、限界利益率の計算で出てきています。
限界利益率=(1-変動費÷売上高)×100%
この式を分解すると、
変動費÷売上高=1-限界利益率
となります。
限界利益率が40%ですので、変動費率は60%となります。
そこで先程の損益分岐点売上高の検証に当てはめてみます。
売上高-変動費=固定費+0円
7,500万円-7,500万円×60%=3,000万円+0円
3,000万円=3,000万円
損益分岐点売上高は正しいことになります。
ざっくり赤字にならない売上高を知るのには、この程度でも良いかと思いますね。
正しい会計処理がされていることが大前提
赤字にならない最低限の売上高である損益分岐点売上高を求めてみましたが、最初にやったことといえば、経費を分けることです。
この経費を分けるためには、経費を正しい金額で、正しい計上基準で、正しい勘定科目で処理されていることが前提となります。
計上金額が間違っていたり、計上する時期がおかしかったりすると、正しい損益分岐点売上高を計算することはできません。
財務会計における損益計算書の勘定科目分類を利用して損益分岐点売上高を試算するのが最も簡易的かと思います。
管理会計として社内で別管理されている場合をのぞき、財務会計での会計データを用いて分析するのが現実的でしょう。
小規模事業者の場合には管理会計として別管理されている事業者は少ないのではないでしょうか。
だからこそ、財務会計のデータを元に分析するのが現実的ではありますが、その会計データが正しくなければ分析結果も正しいものとはなりません。
これは当然ですね。
会計処理は税金計算のためだけではなく、銀行への提出のためだけではなく、自社の管理としても利用できるように日々正しく処理しておく必要があります。
会計処理は過去のものですが、同時に未来の数字を予測する大切な基礎データとなります。
会計処理はとても重要なんですよね。
まとめ
損益分岐点売上高について考えてみました。
変動費と固定費にわける基準は非常に曖昧なものもあります。
ある程度の割り切りも必要になります。
最低でも過去3期分程度を分析してみると、動きが見えてくると思いますね。
是非お試しあれ。
【編集後記】
ついに出ちゃいましたね、緊急事態宣言。
コワーキングスペースを利用してみようと思っていましたが、延期ですね。
カフェでの仕事も最近は控えめ。
早く自由にカフェに行きたいなぁ。。。
【家族日記】
私のワクチン副作用により延期した奥さんのお誕生日会を開催。
子供たちの大好きなアイスケーキとなりました。
まぁそんなもんですよね。
それにしても、アイスケーキ美味しい。