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2021年10月8日 / 最終更新日時 : 2021年10月8日 miyagizeirishi 01 会計・税務・経営

退職金を現物支給すれば源泉徴収しなくて良い?それは間違いですよ。

企業務めであれ、経営者であれ、退職する際に法人から退職金を受給することは多いでしょう。

退職金は一般的に金銭で支給されることになりますが、現物による支給もあります。

その時に気になるのが源泉徴収税額についてです。

以前、物で支給するんだから源泉徴収は必要ないですよね?

という質問を頂いたことがあります。

これは現物を支給される個人よりも、支給する法人側が気になるところかもしれませんね。

結論から言うと、現物支給でも源泉徴収は必要になります。

現物でも金銭でも、退職金の支給には変わりありませんからね。

【 目次 】

    • 現物支給も金銭支給も退職金であることに変わりはない
    • 退職金の源泉徴収税額の計算
      • 退職所得の受給に関する申告を提出している場合
      • 退職所得の受給に関する申告を提出していない場合
    • まとめ
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現物支給も金銭支給も退職金であることに変わりはない

退職金は文字通り会社を退職するときにもらう「金」です。

それ故に金銭支給が一般的であり、サラリーマンの退職金は預金に振り込まれてくると思います。

退職金は支給額がそのまま振り込まれてくるかというと、そうではありません。

毎月のお給料から社会保険料の他に、所得税や住民税も控除されていますよね。

それと同じように、退職金からも所得税や住民税が引かれてから差引支給額、つまり振り込まれる金額が決まります。

この支給方法が金銭の振込みではなく、現物支給である場合には、所得税や住民税は控除されるのでしょうか。

サラリーマンの場合にはあまり考えられませんが、経営者の場合には会社で所有していた資産を退職金代わりに支給されることがあります。

たとえば退職金が3,000万円で、金銭支給が2,000万円、現物支給として時価1,000万円の高級車とした場合、控除される所得税や住民税の計算はどうなるでしょうか。

金銭支給である2,000万円に対してのみ課税されるのか。

違いますよね。

あくまでも「退職金」に対して課税されますので、金銭支給2,000万円と現物支給1,000万円の合計額が退職金であり、全額を基準に税額を計算することになります。

現物支給のみの場合でもそれに対して税額を計算することになりますので、金銭で支給していないから控除される税金はないという考えは間違いとなりますのでご注意ください。

退職金の源泉徴収税額の計算

さて、退職金には現物支給であろうと金銭支給であろうと所得税と住民税を差し引く必要があります。

ではどのように計算をするのか。

大きく分けると2パターンがあります。

退職金をもらう場合に、受給者である個人が支給する法人に対して提出する書類に「退職所得の受給に関する申告書」があります。

国税庁:退職所得の受給に関する申告書
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_37.htm

この書類を提出するかしないかで差し引く税額、源泉徴収する税額が変わってきます。

ただし、この退職所得の受給に関する申告書の提出は義務ではありません。

提出しなくても罰則等はありません。

ではそれぞれの計算方法を見ていきましょう。

退職所得の受給に関する申告を提出している場合

退職所得の受給に関する申告書を提出してる場合には、退職所得控除を適用することができます。

退職金の課税所得金額の計算は、退職金から退職所得控除額を控除した残額に「×2分の1」をします。

算式としては下記の通りですね。

  (退職金の金額ー退職所得控除額)× 1/2=課税退職所得金額

さて、この退職所得控除って何ですのって話です。

勤続年数に応じて課税される所得を減らすことができる受給者にとってはとても嬉しい制度。

長く勤めれば勤めるほどこの金額も大きくなります。

計算式は20年までは1年につき40万円。

20年を超える年数については1年につき70万円。

仮に勤務期間が21年の場合には、「40万円×20年+70万円×(21年-20年)=870万円」となります。

この退職所得控除額を控除して源泉徴収税額を計算するには「退職所得の受給に関する申告書」を提出する必要があります。

そして税額の計算。

仮に退職金が3,000万円(現物支給1,000万円・金銭支給2,000万円)、勤務期間が21年の場合で源泉所得税の額を計算してみましょう。

 (30,000,000円 – 8,700,000円)×1/2=10,650,000円(課税退職所得金額)
 (10,650,000円×33%ー1,536,000)×102.1%=2,020,048.5円→2,020,048円(源泉徴収税額)

なお、税率は下記参照。 

国税庁:退職所得の源泉徴収税額の速算表
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2732_besshi.htm

そしてもう一つ、住民税については、課税退職所得金額に10%(県4%・市6%)を乗じて計算します。

課税退職所得金額は源泉徴収税額の計算と同じです。

 10,650,000円×10%=1,065,000円

よって、源泉徴収すべき所得税と住民税の合計額は、

 2,020,048円+1,065,000円=3,085,048円

支給すべき退職金の金額は、

 30,000,000円 ー 3,085,048円 = 26,914,952円

となり、現物支給10,000,000円、金銭支給16,914,952円となります。

退職所得の受給に関する申告を提出していない場合

それでは退職所得の受給に関する申告書を提出しなかった場合はどうなるか。

この場合には退職所得控除を適用できません。

つまり、退職金の支給額に一定の税率(20.42%)を乗じて計算します。

計算式は下記の通りです。

 退職金の金額 × 20.42%

単純ですね。

仮にさきほどの退職金3,000万円(現物支給1,000万円・金銭支給2,000万円)で計算してみると、

 30,000,000円×20.42%=6,126,000円

そして住民税は、退職所得の受給に関する申告書を提出していなくても、提出したときと同じ計算方法になります。

 10,650,000円×10%=1,065,000円

よって、源泉徴収すべき所得税と住民税の合計額は、

 6,126,000円+1,065,000円=7,191,000円

支給すべき退職金の金額は、

 30,000,000円 ー 7,191,000円 = 22,809,000円

となり、現物支給10,000,000円、金銭支給12,809,000円となります。

なお、源泉所得税については確定申告をすることにより還付することができます。

退職所得の受給に関する申告書を提出しない場合には、最終的には確定申告で精算する流れですね。

まとめ

なんだか退職金にかかる源泉徴収税額の計算について書いてしまいましたが、メインは現物支給でも源泉徴収する必要があるよという点です。

退職金を金銭で支給できないから現物支給しようとなった場合には特に注意が必要ですね。

金銭がないから現物支給してるのに、源泉徴収した税金は翌月10日までに納めないといけませんからね。

仮に上記の退職金3,000万円を全額現物支給した場合には、翌月10日までに所得税と住民税合わせて300万円以上の納税が発生するわけです。

金銭がないから現物支給しているのに、金銭で納税しなければならない。

無計画で退職金を現物支給しないように注意しましょうね。

  

【編集後記】
有り難いことに10月は今までにないくらい忙しくさせてもらっています。
事業承継、相続税申告、決算、新規設立法人、そして税務署での記帳指導。
息抜きに税理士の先輩方と情報交換しながらゴルフにも行かせて頂き、非常に有り難い。
もっと上手くなりたいなぁ。練習あるのみですね。

【家族日記】
週末に親戚も交えて娘ちゃんのお誕生日のお祝い。
そして家族のみでもアイスケーキでお祝い。
やっぱり子供たちはアイスケーキが大好きですね。
サーティーワンのポイントが尋常じゃないスピードで増えている。
それに比例して私も太るのではないかと心配です。。。

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