我々税理士は、お客様へ税理士報酬をご請求する場合、源泉所得税を差し引いてご請求させて頂きます。
報酬額をそのままご請求するのではなく、源泉所得税を差し引いてお支払い頂くようになります。
そして徴収した源泉所得税を翌月10日までに、お客様が税務署に納めて頂くことになります。
この源泉徴収ですが、相手が誰であろうと、必ず差し引かないといけないのでしょうか。
一般の方でも源泉徴収しないといけないのでしょうか。
根拠条文をみながら考えてみたいと思います。
源泉徴収義務
まず源泉徴収義務について条文を見てみましょう。
所得税法204条にその規定があります。
以下抜粋します。
1 居住者に対し国内において次に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金の支払をする者は、その支払の際、その報酬若しくは料金、契約金又は賞金について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに、これを国に納付しなければならない。
…
二 弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金
2 前項の規定は、次に掲げるものについては、適用しない。
…
二 前項第1号から第5号まで並びに第7号及び第8号に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金のうち、第183条第1項(給与所得に係る源泉徴収義務)の規定により給与等につき所得税を徴収して納付すべき個人以外の個人から支払われるもの
第1項で国内の士業に対して報酬を支払う者は、その支払いの際、所得税を徴収して翌月10日までに納付しなければならないと規定しています。
つまり、税理士を含む士業に対して報酬を支払う際には、源泉徴収義務があると規定していることになります。
ここだけを読むと士業に報酬を支払う者は全員に源泉徴収義務が発生しそうですね。
しかし、第2項でこの義務が発生しない者を規定しています。
こちらも一部抜粋ですが、給与の支払いについて源泉徴収義務がある個人以外の個人を除外しています。
普通に考えて、一般の個人の方は給与の源泉徴収義務なんてありませんよね。
給与の源泉徴収義務がある個人とは、個人事業主で従業員等を雇用している人を指します。
つまり、個人事業主以外の一般の方は、この規定により除外されます。
税理士に限ってみると、相続税の申告報酬や譲渡の確定申告報酬などは、相手が一般の方ですので、源泉所得税を差し引かずにご請求することになりますね。
個人事業主でも源泉徴収義務がない者もいる
上記の規定では、個人事業主以外の個人、つまり一般の個人は除外されていました。
しかし、個人事業主で従業員を雇用していない人も多数いますよね。
あるいは雇用しているけど金額が僅少なので源泉徴収する必要がない、つまり源泉徴収税額が0円の場合もあります。
源泉徴収義務者の範囲を規定している所得税基本通達204-5を見てみると、次のように規定があります。
法第204条第2項第2号に規定する「第183条第1項(給与所得に係る源泉徴収義務)の規定により給与等につき所得税を徴収して納付すべき個人」には、実際に徴収して納付する税額がない者も含まれることに留意する。
つまり、雇用はしているけど金額が僅少なので源泉徴収する税額がない場合も含むとされています。
では、従業員を一切雇用していないフリーランスなどの方はどうなるのでしょうか。
士業の報酬にかかる源泉徴収については、あくまでも給与所得の源泉徴収事務をされてる個人に、追加的に義務としているにすぎません。
そもそも従業員を雇用していない個人は、給与所得の源泉徴収事務をしていませんよね。
前提となる給与所得の源泉徴収事務をしていないので、士業の報酬にかかる源泉徴収の義務も生じないことになります。
まとめ
士業の場合、個人事業主のお客様への報酬請求については、給与の源泉徴収事務をされている事業者様か否かによって受領する金額が変わります。
源泉徴収税額を差し引くか差し引かないか。
報酬を請求する前に一度確認する必要がありますね。
【編集後記】
今週は県北でのお仕事が続きました。
高速で往復2時間程度ですが、やはり運転はちょっと疲れました。
遠方の楽しみはやはりその地のお店でのランチ。
以前一度伺ったことのあるカフェへリピート。
今回はパスタを食べました。
やっぱり美味しい。
また行く機会があったら寄りたいなと思います。
【家族日記】
子供たちの発表会が続いています。
息子君のお遊戯会に娘ちゃんの習い事の発表会。
そして今週は娘ちゃんのお遊戯会。
コロナの影響により学年ごと、クラスごとにお遊戯会が開催されています。
クラスごとだと父兄も少ないので見やすく、これはこれで良いなと思っています。