相続により取得した非上場株式を譲渡した場合の取得費は概算取得費5%との比較を忘れずに

最近は盛んになっている中小企業のM&A。

当然ですが、譲渡した側は譲渡所得税の申告が必要になります。

相続で取得した株式をM&Aで第三者へ譲渡するケースもあります。

譲渡価額が膨れ上がっていることもあるでしょう。

そんな時の取得費計算にはちょっと注意が必要です。

目次

株式を取得した時の金額が取得費となる

まずは取得費計算の原則からいきましょう。

取得費は、株式を取得したときに支払った金額となります。

購入するときにかかった手数料や名義書換料など、その株式を取得するためにかかった費用も含まれます。

これはわかりやすいですよね。

100万円で買った株式を譲渡した場合の取得費は当然100万円となります。

では相続により取得した株式の取得費はいくらになるのでしょうか。

相続により取得した株式は相続財産として相続税の課税対象となります。

その非上場株式は相続時の評価額で相続人が相続することになります。

その相続した株式を譲渡した場合、取得費はその相続時の相続税評価額になるのでしょうか。

これが違うのです。

相続人は確かに相続税評価額にて相続していますが、その評価額はあくまでも相続税計算のためのものです。

その価額を支払って株式を取得しているわけではありません。

ではこの場合の取得費はいくらになるのか。

相続により取得した場合には、被相続人つまり亡くなった方が取得したときに支払った金額となります。

被相続人が出資して会社を設立した場合には、その出資額が取得費となりますね。

概算取得費5%との比較を忘れずに

相続により取得した非上場株式の取得費は出資金額。

これはとてもわかりやすいですね。

株主名簿に記載のある被相続人の出資額が取得費となります。

ただし、ここで安易に取得費を決めてしまうと危険です。

特に創業から長い年月が経っている法人の株式を譲渡された場合には、譲渡価額が膨れ上がっているケースがあります。

M&Aで譲渡された場合には、譲渡価額が高くなっていることが多い。

そういった場合、概算取得費5%との比較を忘れないようにしましょう。

例えば出資金額が1,000万円、M&Aによる譲渡価額が3億円だったと仮定します。

取得費は1,000万円となりそうですが、概算取得費5%を計算すると1,500万円となります。

このような場合には、取得費を1,500万円とすることが可能です。

譲渡所得の計算上、譲渡価額から控除できる取得費は大きい方が税金計算上は有利となります。

このようなケースですと、出資金額よりも概算取得費とした方が有利となりますね。

税理士であればこの比較は当然ですが、一般の方で譲渡所得の申告をご自分でやられる場合には忘れがちです。

概算取得費5%との比較、忘れずに。

まとめ

相続した株式を譲渡した場合の概算取得費5%との比較について書いてみました。

論点としては非常に簡単ですが、簡単ゆえに忘れがち。

税額が大きく変わることもありますので、注意するようにしましょう。

   

【編集後記】
2月3月は税理士業界の繁忙期。
この時期は残業残業残業の記憶しかありません。
22時までは帰ってはいけないという事務所ルールがあったなぁなんて思い出しています。
ちょっとしたお祭りですね。
ひとり事務所になった今でも確定申告期間はちょっとお祭り感があります。
残業はしませんけどね。

【家族日記】
コロナで小学校や幼稚園の行事が軒並み中止や家族の参加がダメになっています。
子供たちが一番我慢を強いられているんですよね。
このストレスは尋常ではないだろうなと思っています。
少しでも解消させてあげられるように工夫してあげないとですね。

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