国税庁からパブリックコメントが公示されました。
内容は下記リンクのとおりですが、サラリーマンの副業節税ができなくなる通達改正案です。
「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)(雑所得の例示等)に対する意見公募手続の実施について
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000239212
色々なところで騒がれていますが、正直まっとうな改正だなと思っています。
「サラリーマンこそ副業をして給与と損益通算しよう!」なんてくだらん宣伝文句を言っている人達が騒いでますが。
税理士資格を持たない無資格者たちは無責任にそんなことを言ってきます。
私は真っ当にビジネスを志す方にとっては今回の改正案は影響ないとみています。
ズルしようとする人には得をさせない改正案だと思いますね。
収入300万円以下の副業は「原則」雑所得へ
まず収入という点に注目しましょう。
収入とは売上のことを指します。
経費を差し引いた後の金額ではありませんのでご注意ください。
事業でいうところの年商にあたりますね。
副業として年商300万円以下の場合には、基本的に事業所得ではなく雑所得として申告してくださいね、というのが今回の改正内容です
ただし、年商が300万円にいかなかったら、即「雑所得」となるわけではありません。
きちんと反証がある場合には事業所得として認めてもらえます。
事業所得とは、「自己の計算と危険において対価を得て継続的に行う業務から生ずる所得で、山林所得又は譲渡所得に該当しないもの」とされています。
この要件を満たせば、年商300万円以下であっても雑所得ではなく、事業所得として申告して問題ありません。
あくまでも今回の改正は、副業を対象としています。
個人事業主の方で、本業が300万円以下だったとしても今回の改正の影響はありませんのでご安心くださいね。
副業が対象です。
最近は副業が盛んではありますので、影響がある方は多いかと思います。
アフィリエイトやメルカリなどで副業として収入を得ていたサラリーマンなどは影響を受けますね。
本業は給与所得ですからね。
そしてもう一つ注意しなければならないのは、300万円を超えていても、事業としての要件を満たさない場合には、雑所得となりますからね。
300万円というのはあくまでもひとつの判断基準であり、300万円を超えたから即「事業所得」となるわけではありません。
通達の書き方からもわかる通り、「雑所得として取り扱って差し支えない」という言い方です。
通達は法律ではなく、あくまでも法律の運用指針です。
事業所得と雑所得の判断は非常に曖昧でした。
そこに運用上のひとつの基準を設けた形になります。
法律上の「事業所得」に変更はないので、要件に該当しないのであれば、それは「雑所得」です。
金額だけが独り歩きしているように見えますが、ここは注意しましょう。
雑所得に区分されることにより何が問題となるのか
副業が事業所得ではなく、雑所得になると何が問題なのか。
というより、なぜそんなに騒がれているのか。
それは事業所得により申告することにより得られる恩恵が、雑所得になると得られないというのが、副業サラリーマンにとっては問題なんでしょう。
恩恵の一つ目が青色申告特別控除ですね。
最大で65万円の控除を受けられます。
つまり、利益が65万円でても、65万円の特別控除を受ければ所得は0円となります。
この特別控除が雑所得にはありません。
そして恩恵の二つ目が損益通算です。
サラリーマンの副業による節税では、この損益通算が「悪用」されています。
今回の改正案もここにメスを入れたいのではないかと思っています。
副業によって赤字を作り、本業の給与所得と損益通算させて所得税を還付させるやり方ですね。
このやり方を指南している無資格者が存在するようです。
それを真に受けてサラリーマンが副業に手を出し、プライベートの支出を経費に紛れ込ませて赤字を作り、損益通算により所得税を還付させているようです。
これはいけませんよね。
それが、雑所得に区分されると、この損益通算は使えません。
だからネットで節税をしているサラリーマンが騒いでいるんですよね。
そもそも副業をするということは収入を増やすためにやるわけですから、損益通算を目的に副業をすること自体がナンセンスです。
それと、雑所得だから経費は認められないのかというとそうではありません。
雑所得でもその収入を得るためにかかった必要経費は費用として計上できます。
そうなると、今回の改正で一番のとばっちりを受けるのは、副業であっても事業としての要件を満たす業を営んでおり、利益も出ているけど、その収入が300万円以下の方ですね。
そのような方が雑所得とされてしまうと青色申告特別控除が使えないことになります。
それを改正案の「特に反証がない限り」という一文で救済措置をとっていますね。
つまり、事業として営んでいるという反証を準備することにより、事業所得として申告することができます。
実態が事業所得と認められる事業であれば問題ないですよってことです。
今回の改正案はあくまでも「節税という悪意のある」副業が対象ですので、真っ当に事業として営まれている副業は対象外となります。
まとめ
今回は通達の改正案について私見を含めて書いてみました。
ネットでは「副業容認が進む時代に逆行している」などと書かれていますが、それは違いますね。
公正な税負担を回避しようとしている一部の「悪意のある副業」をされている方にメスと入れただけです。
今回の改正があろうがなかろうが、事業所得とすべきものは事業所得ですし、雑所得とすべきものは雑所得なんです。
判断が難しいのでひとつの基準を設けただけ。
その300万円という金額が独り歩きしていますが、惑わされないようにしましょうね。
副業も正しく申告しましょうね、ということです。
【編集後記】
6月決算がまだ終わらず今年は時間がかかっています。
例年は盆前に数字を固められるのですが、今年はコロナの影響により後日微調整が必要になりそうです。
まぁ税額には影響がない修正なんですが、不足資料が1つ間に合わず、盆明けに持ち越しです。
来年の決算スケジュールを再度見直そうと思っています。
それにしても、コロナが急拡大していますね。
注意しながら生活しないとなと持っています。
【家族日記】
夏休みということで、みんなでプールに行きました。
ウォータースライダーや流れるプールもあり、子供たちと1日中プール三昧。
屋外ということもあり、めちゃくちゃ焼けました。
顔が痛い…もう真っ赤です。
日焼け止め塗り忘れたのが痛い…