小規模事業者のみなさん、経営計画書は作成していますか?
経営計画書なんて必要ないよ。
やりたいことは頭の中にあるからいちいち作らんでも良いよ。
経営計画書?なにそれ?
そんな声が聞こえてきそうですね。
中小企業庁「2020年版 小規模企業白書」によると、小規模事業者で経営計画書を作成しているのはわずか47.5%。
半分以上の小規模事業者は計画を立てずに事業を経営していることがわかっています。
私は事業者の規模に関わらず経営計画書は作成すべきだと思っています。
大きな理由はただ一つ、倒産しにくくするためです。
コロナで浮き彫りになった経営計画書の重要性
昨年からのこのコロナの状況で経営環境がガラッと変化しましたね。
予定していた売上見込みの達成は難しい。
資金繰りが厳しい。
そんな中、経営計画書があった経営者様は直ぐに計画書を下方修正しました。
やるべきこと、つまりアクションプランも直ぐに修正しました。
目指すべき道を変えざるを得ない状況が発生したので当然ですね。
そして1年半が経過し、資金繰りは厳しいながらも事業を継続されていらっしゃいます。
もちろん計画書に新たに銀行融資も盛り込んでいます。
コロナ渦での企業経営の方向性を目に見える経営計画書に落とし込み、それに向かって行動し続けています。
では、経営計画書がない経営者様はどうだったか。
資金がない。
売上の見込がない。
資金を借りたけど、いつまでもつかわからない。
この「わからない」というのが恐怖ですよね。
いつ倒産するかわからない。
つまり、売上が低迷し続け、損益も赤字、資金繰りも赤字の状態でいつまで耐えられるか。
売上を上げる工夫は当然にやりますよね。
それでも読めないのがこのコロナ。
延長延長の緊急事態やまん延防止。
わからないという不安な状態で経営し続けるのは精神的にものすごく辛い。
これが経営計画書において損益予測も下方修正し、資金予測も立て、それに基づき毎月チェックをしながら予実管理している経営者は、いつまで大丈夫かがわかります。
だから「わからない」という最悪の恐怖はありません。
いつまでにこの状況を打開しなければならないかがわかります。
期限を明確にし、それまでにやるべきことを計画的に実行していきます。
やるべきこと、そして期限が明確になっているか否かで行動力も結果も変わってきます。
経営計画書の重要性がこのコロナにより浮き彫りになったように思います。
経営計画書を作成するメリット
経営計画書を作成するメリットは、未来の全体像が把握できる点にあります。
経営計画書を作成することにより、今の事業の状態、来年度、3年後、5年後、10年後のあるべき状態を可視化することができます。
ゴールを可視化し、それに向かってプロセスを描きます。
数値面も重要ですが、行動面がより重要になってきます。
なぜなら目標値を達成するためには、行動しないといけないからです。
現状のままでは何も変わりません。
経営計画書を作成することにより可視化できた数値面と行動面について、こまめにチェックをしながら経営を管理していきます。
これは経営計画書を作成する最大のメリットだと思います。
経営計画書を作成していない場合には、この「チェック」ができないのです。
チェックができないということは、その行動が正しいのか、誤っているのかの判断ができません。
できても経営者のフィーリングでしょう。
誤っていることが悪いのではなく、誤っていることに気付けず、修正ができないということが経営にはマイナスなのです。
経営には常に課題がつきまといますよね。
経営計画書を作成しなくても頭の中に整理してあるから大丈夫という経営者の方にお会いした際、その場で課題を列挙して頂くことがあります。
こちらからいくつかの質問をしているうちに、新たな問題点が出てくることがほとんどです。
つまり、頭の中に整理できていると思われていますが、問題点を洗い出し、それらを整理できているかというとそうではないのです。
専門家と共に経営計画書を作成することにより、課題が明確になります。
そしてその課題にについて対策を考えて考えて考えまくる。
それらを解決しながら、あるべき未来像に近づけていきます。
そして大事なのは、数値も行動も計画通りにはいかないという点です。
これは仕方のないこと。
しかし、この計画通りにいかないという点がより経営計画書を作成する意義を高めています。
計画書はあくまでも仮説であり、予想に過ぎません。
計画と実績にズレが生じることにより、その計画と実績のズレを検証することが可能になるのです。
計画通りにいったらそれはそれで良し。
もし計画で失敗したら、単なる失敗ではなく、その失敗から多くのことを学べます。
そして計画書があるので、それを正しい方向に修正することができます。
計画書がないと、この修正はできませんよね。
経営計画書を作成する最大のメリットは、検証し、修正ができる状態を作る点にあります。
ただなんとなくの経営ではなく、計画的に経営をすることができるようになるのです。
経営計画書の有無は業績に関係するのか
よく聞かれるのは、経営計画書を作成するか否かによって、業績に影響はあるのかという点です。
これは、景気が良いときや乗りに乗っているときにはそれほど大きな影響はないのではないかと思います。
そんな状況であれば、計画書なんてなくても、売れるものは売れるし、利益もでるときはでます。
経営計画書の有無が業績に影響を与えるのは、景気が悪くなったときや、売上が低迷してきたときです。
つまり、コロナ渦で大変な、まさに今ですよね。
経営計画書を作成していると、計画と実績にズレが生じていることにすぐ気付けます。
このままではやばいなと危機を感じます。
気付いたらすぐに行動面に修正を加えます。
行動が変われば数値も変わります。
つまり、景気が悪くなったり売上が低迷してきたときに、経営計画書がないと何が問題なのかがすぐには明確になりません。
気付いたときには既に手遅れなんてこともザラにあります。
経営計画書を作成することにより、経営方針も明確になり、目標値が明確になります。
この明確になっていることが、即修正することを可能にするのです。
更に、自社について分析をしていますので、強みや弱みを認識することができています。
状況によって強みが弱みに変わったり、逆に弱みだったものが強みに変化したりします。
そこを利用して行動を変化させることもできますよね。
そして、資金繰りの状況も把握できているので、事前に対策を練ることができます。
今回のコロナでは資金繰りが苦しくなることが予測できた事業者様の場合には、できるだけ早く、そして可能な限り多くの融資を受けた方が良かったと私は思っています。
借りたのでもちろん返済しなければなりませんが、資金があるとないとでは思い切った事業展開をすることができません。
そして返済シミュレーションをしながら、いつまでにいくらの売上を達成しなければならないのか。
売上だけではなく、利益はどのくらい必要なのか。
そのためにはどう動かなければならないのか。
逆に今の状態のままであれば、いつまで滞らないで返済可能なのかも明確にできますね。
これらをするかしないかでは行動が全く違いますし、それに伴い業績も全く異なるでしょう。
経営計画書は業績が悪くなったときに、いかに早く修正できるかの鍵になると思います。
業績が常に良いとは限りません。
外的環境の悪化を直で受けやすい小規模事業者こそ、経営計画書を作成しておくべきだと私は思います。
まとめ
小規模事業者の経営計画書の重要性について書いてみました。
最近では補助金獲得のために初めて事業計画書を作成したという経営者も多いのではないでしょうか。
事業計画書と経営計画書は似て非なるものですが、計画をたてるという意味では同じですね。
これを機に、経営計画書を作成し、常に事業状態をチェックできる状態に保ち続けてみてはいかがでしょうか。
経営計画書の作成方法には正解はありません。
自社のやりやすい方法で。
信頼できる専門家と共に。
未来の事業が少しでも良い方法に向かうために検討すべきだと思いますね。
【編集後記】
今週は事業再構築補助金の打合せがメイン。
第一次の公募採択が発表され、いよいよ第二次公募ですね。
コロナ渦でも頑張っている顧問先のため、私も力になれるよう頑張りたいと思います。
MTGが多い事もあり、カフェ利用が増えています。
コメダとスタバはやっぱり居心地が良いなと改めて思った。
来週もどっちも利用しそうな予感です。
写真はびっくりドンキーなのはなんでやねんって感じですね。
【家族日記】
息子くんの七五三写真を撮りに写真屋さんへ。
緊張しまくっていた息子くんも、お姉ちゃんたちに挟まれると安堵の表情。
やっぱり三人だと落ち着くようです。
良い写真が撮れたので、できあがりが楽しみです。