事業年度末に不動産を譲渡。収益計上は今期?翌期?

法人で建物や土地を所有していると、当然売却という取引も発生します。

そして、所有者である法人は売れそうな時、そして高く売れる時に譲渡しようとしますよね。

その時期が決算間近なんてこともあるでしょう。

今期は赤字見込なので早急に売りたい。

なんとか契約までは辿り着いたけど、引き渡しまで完了しなかった。

そんなとき、その不動産の譲渡益を今期の収益に計上したいなと思いますよね。

契約は今期、引き渡しは翌期。

さていつの収益に計上しなければならないのでしょうか。

目次

原則は引き渡した日の属する年度

不動産の譲渡について、法人税法基本通達2-1-14できちんと規定があります。

以下にそのまま載せてみましょう。

【法人税法基本通達2-1-14】
固定資産の譲渡に係るの額は、別に定めるものを除き、その引渡しがあった日の属する事業年度の益金の額に算入する。

単純明快に規定されていますね。

引き渡しのあった日の属する事業年度に収益に計上しなければなりません。

つまり、今期に契約して翌期に引き渡した今回のケースの場合、翌期の益金に計上するのが原則となります。

はい、ここで「原則」といいました。

原則があるということは、例外があるのか。

はい、その通りです。

次に見ていきましょう。

契約日の属する年度でも可能

法人税法基本通達2-1-14に規定には、続きがあります。

以下にそのまま載せてみましょう。

法人税法基本通達2-1-14(つづき)
ただし、その固定資産が土地、建物その他これらに類する資産である場合において、法人が当該固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日において収益計上を行っているときは、当該効力発生の日は、その引渡しの日に近接する日に該当するものとして、法第22条の2第2項《収益の額》の規定を適用する。

ちょっと長いですが、簡単に言うと、契約日の属する事業年度に収益に計上した場合には、それを認めますってこと。

つまり、今回のケースでは、契約を締結した今期の収益に計上した場合には、それも認められますってことです。

ん?原則は翌期だけど、例外で今期もOKってこと?

ぶっちゃや任意で選べるってこと?

そう、その通り。

法人が任意で契約日の属する事業年度に収益計上してもいいよってことです。

なんて優しい規定なんでしょう。

ただし、「固定資産」であることが前提ですので、不動産業者が売却のために所有してる土地や建物は該当しません。

だって不動産業者にとっては固定資産ではなく、棚卸資産になりますよね。

あくまでも固定資産に該当する土地や建物であることが前提ですのでご注意くださいね。

原則と例外があることを知っておくことが重要

この収益の計上時期については、不動産賃貸業を営む法人であれば当然のように知っていることかもしれません。

しかし、一般の事業会社でも発生する可能性は十分あります。

例えば事務所を移転するので所有している事務所建物を譲渡する。

それがたまたま年度末。

そんなとき、原則は引き渡しだけど、契約日でも計上できるってことを知っておくことは重要ですね。

今期が赤字で、当該不動産の譲渡で譲渡益が発生する場合には翌期に計上しても赤字部分は繰越欠損金として翌期へ繰り越されるので問題は生じにくいでしょう。

しかし、今期が黒字で、当該不動産の譲渡で譲渡損が発生する場合にはどうでしょう。

譲渡損は今期に計上して納税額を少しでも少なくすれば、法人の資金繰りは改善されますよね。

知っているか知らなかったかで翌期スタートの資金残高が変わります。

なんとなく任意だったな…って知っておくことが重要となりますね。

まとめ

不動産の譲渡益の計上時期について簡単に書いてみました。

原則は引き渡し、例外で契約日。

この考えは法人税法だけではなく、所得税法や消費税法も同じです。

なんとなく頭の片隅に入れておくといざというときに損をしなくて済むかもしれません。

   

【編集後記】
今週は県北へ行ったり、県南へ行ったり。
移動距離が普段より長かったなと感じます。
運転は苦ではないので、ドライブ気分で楽しかったなと。
遠方の仕事も行きたいランチのお店を探したりすると楽しいですよね。

【家族日記】
ふるさと納税で届いたシャインマスカットに子供たちがおおはしゃぎ。
それに加えてお客様から頂いたブドウも加わり、ブドウ祭り。
ダイニングはブドウで染まりました・・・

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