税理士という職業は、色々な経営者とお会いします。とても有り難い職業だと思います。日々勉強です。
経営者との会話の中で、経営者の口から発せられる「うまくやれば」には注意するようにしています。
良い「うまくやれば」と悪い「うまくやれば」があります。
税理士に投げる意味での「うまくやれば」には注意する
経営者の口からたまに発せられる「うまくやれば」というワードですが、何をうまくやるのか私には理解できないことがあります。
経営は売上を作り、必要となった経費を差し引くと利益がでてそのうち何割かの税金を納めます。
もちろんこの単純な流れの中で、売上を作るところ、必要となる経費のところ、これらのうちどちらかで経営者の頭の中にある「うまくやれば」があれば私は問題ないと思っています。
経営するうえで利益を生み出す仕組みを考えてらっしゃるのですから何も問題ありません。
その仕組みをお聞きし、それが会計上あるいは税法上の問題があるかどうかアドバイスもできます。
そしてそれを実行することによって売上があがり、あるいは経費が減り、利益がでるのは経営者の考えた仕組みが正しいということになります。そのお手伝いができるのは嬉しい限りです。
しかし、経営者の「うまくやれば」の中に、税理士に対する「うまくやってくれ」が含まれている場合があります。
つまり、うまくやるのは経営者ではなく税理士となります。
経営の仕組みとしてうまくやるのではなく、会計上や税務上で「うまくやれば」という意味です。
だから税理士側がうまくやることになります。
これにはリスクが非常に高い「うまくやれば」が含まれているので注意するようにしています。
ほとんどはリスクを説明して断っていますが、それで契約解除になってもそれは仕方ないと考えています。
「うまくやれば」は税金を払いたくないの意思表示
経営者が「うまくやれば」と発する裏には、現状の仕組みを複雑化させることにより利益を圧縮させることを意味している場合があります。
つまり、現状ある売上を増やすことではなく、経費を削減する方法ではなく、今の仕組みを複雑化させて利益を減らし、税金を少なくしようと考えている場合が多いです。
経営者としては節税策として考えているのだと思いますが、だいたいは脱税に近いやり方となります。
あるいは、適法だとしても仕組みを変に複雑化し過ぎて処理が大変になるだけです。
そこまでして税金を納めることに拒否反応を示す経営者はたいていの場合資金繰りに泣きます。
利益をだして税金を納めることが財務基盤を強くする方法であることを理解されていないことが多いと思います。
もちろん事前の適法な節税策はやるべきだと思いますが、過度な節税はおすすめしません。
税金は納めても何も生まないとお考えだからこそ「うまくやれば」という考えが生まれます。
しかし、納税は何よりも銀行からも社会からも信用を得られますよね。
この信用って非常に大きいと思います。
税金を減らす「うまくやれば」を考える時間を、売上を増やす「うまくやれば」を考える時間にあてるべきだと私は思います。
その方が会社にとっては有益ですよね。
「うまくやれば」は全然うまくない
節税のための「うまくやれば」は、その仕組みを経営者の方からお聞きすると、多くの場合全然うまくありません。
一番多いのは、知り合いの経営者から聞いたという話です。
適法な節税方法でも会社の状況は様々です。
お知り合いの方の会社ではうまくいくやり方でも、その経営者の会社ではうまくない場合も多いです。
役員の構成も違えば、会社の規模も違ったり、業種も違うかもしれません。
その会社毎に置かれた状況は異なります。
他社でうまくいくことが同じようにその会社にも当てはまると考えているケースが多いのですが、それは間違いです。
同じやり方でも適法となる場合と違法となる場合がありますので注意が必要です。
まとめ
経営者は日々会社のことを考えています。
その考える貴重な時間を真っ当な経営について考える時間にして欲しいと思います。
経営で節税は大事ですが、節税が思考の最上位にきてはいけません。
「うまくやれば」は利益を生む仕組みだけにしましょう。
その方が経営は安定しますし、経営が楽しくなりますよ。
【編集後記】
今朝は4時30分起床。ルーティン後仕事。
昨日は午前中は事務所で作業。午後から打ち合せ1件。
仕事後にジムで運動も。
【家族日記】
昨日も親戚の子供たちと目一杯遊べたようです。
昨日の朝は子供たちだけでフレンチトーストを作ってくれました。
味もとても美味しかったです。小学生女子たちありがとう。
私は終始みんなにいじられていました。