労働安全衛生法により、事業者は労働者に対して健康診断を受けさせる義務があります。
当然、その費用は会社の経費となる気がしますよね。
では、事業者自身の健康診断費用はどうなるのでしょうか。
いくつか抑えておくべきポイントがあります。
役員の健康診断費用を経費にするポイント
役員が受診した健康診断費用を経費として計上するためには、満たすべき要件があります。
それは下記の3つ。
これらを満たさないと、経費として認められませんので注意が必要です。
①健康診断を全従業員及び役員が受診していること
②健康診断費用が世間一般での相場金額であること
③会社が健康診断費用を受診した医療機関へ直接支払っていること
これら3つの要件を満たす必要があります。
ただし、全従業員という点ですが、こちらは年齢制限を設けることは可能です。
例えば、30歳未満は定期健康診断とし、30歳以上は人間ドックを受診するように規定することも可能です。30歳以上は定期検診を受診する、という規定で10代20代の従業員は受診させないというのはいけませんね。たまに目にしますが。
健康診断費用の世間一般の相場金額については、定期健康診断にオプションで検査を追加する場合が想定されます。
例えば、がん家系なので、肺がん検査を追加したいといった場合です。このような場合には、追加の肺がん検査にかかる費用は経費とはなりません。
会社が直接支払うという点は意外と忘れがちです。
健康診断の申し込みを個人毎に任せてしまう場合には特に注意が必要です。受診する医療機関も法人からの申し込みであれば、まとめて法人へ請求します。しかし、個人からの申し込みである場合にはお会計の際に支払を求めることが多いかと思います。その際に個人で支払ってしまった場合には経費となりません。その点でも、申し込みは法人で一括して行うことをオススメします。
役員のみ受診した場合の取り扱い
よくあるケースですが、従業員には健康診断を受診させず、役員のみ受診し、その費用を経費として計上しようとする場合があります。
その場合には当然ながら経費として計上できません。
もし会社で払いたいとなった場合には、役員賞与として取り扱うことになります。
役員賞与となるため、法人税の計算では損金として認められません。
つまり、経費として認められないことになります。
更に、賞与として扱いますので、源泉所得税の対象となります。
更に更に、翌年の住民税の計算にも収入として計上されます。
つまり、役員賞与として計上する場合には、法人税、所得税、住民税の3つの税金が課せられることになります。
トリプルパンですね。
なんだか損ですよね。
でも役員のみ受診されているので致し方ありません。
ちなみに、役員賞与はすべて経費として認められないのではなく、決算後に税務署へ「何月何日にいくらの賞与を払います」と届出をしている場合には、その役員賞与は損金として、経費として認められます。
しかし、健康診断の費用をあらかじめ1円単位で予測して税務署へ届出をするのは難しいかと思いますね。
ちょっと現実的ではありません。
健康診断は役員も含めて全従業員を対象にして受診しましょう。
役員のみの会社の場合はどうなるのか
ここまでは、全従業員を対象に、が前提となっています。
では、役員のみの会社の場合にはどうなるのでしょうか。
特に1人会社の場合はどうなるのでしょう。
結論としては、経費として認められないケースが多いです。
しかし、絶対に認められないというわけではありません。
会社を設立したばかりのときは役員のみというのは普通にあり得ます。
将来的には従業員を雇う前提で事業を経営しているかと思います。
その場合には、就業規則で健康診断の受診規定をきちんと整え、将来従業員を雇用した場合にはきちんと全従業員が受診できるようにしておきましょう。
そのような場合であれば、役員のみでの受診でも妥当と認められるケースもあります。
最終的には、実態を確認したうえで、調査官の判断になるかと思いますね。
まとめ
健康診断費用は経費として認められて当然と考えられている経営者は多いです。
しかし、経費として認められるにはきちんと要件を満たす必要があります。
思わぬ指摘をされないように注意しましょう。
【編集後記】
4時15分起床。ルーティーン後に仕事。
昨日の訪問先で最新のApple Watchが話題になっていました。
時計にはあまり興味はありませんが、ちょっと欲しいかも。
あ、携帯はAndroidだったのを忘れていました・・・
【家族日記】
昨日の夕飯も子供たちに炭酸水を奪われる。
ちゃんと氷まで入れて飲まれます。
パパの炭酸水・・・