先週、東京にて事業承継に関する勉強会に参加し、意見交換を行ってきました。
多くの経営者様が直面する課題を深く議論する中で、改めて感じたことがあります。
それは、事業承継とは単なる株式や資産の引き継ぎではなく、会社全体を次世代のためにリフォーム(再構築)する絶好の機会だということです。
ランナーズ株式会社代表取締役の関根先生のお話は大変勉強になりました。
多くの気付きがあると共に、これまで自分がやってきたことの答え合わせもできた良い機会でした。
備忘録としても残したいと思い、自分なりにまとめておきたいと思います。
1.事業承継は会社をリフォームする絶好の機会
関根先生のお話で特に共感をした点としては、この一言ですね。
「事業承継は会社をリフォームする絶好の機会」
事業承継のプロセスは、家のリフォームに似ています。
古くなった設備(非効率な業務)を最新のものに入れ替え、見えない部分(財務の歪みや利益構造の仕組み)を徹底的にチェックする機会です。
会社の承継には「株価算定」が必要となりますが、そのプロセスにはリフォームのヒントが隠れています。
- 非効率な資産の洗い出し
帳簿上は見えない「圧縮記帳の差し戻し」や「保険の解約返戻金」などの実態資産を再評価します。 - 財務の歪み解消
決算上債務超過に見えても、実態資産を反映させると株価が発生する事実を直視し、本当の会社の価値と課題を明らかにします。 - 負債の整理
役員借入金などの負債整理(債務免除など)は「みなし贈与」リスクを伴うため、株価の前後比較を行いながら、最もリスクの低い手法を模索します 。
このリフォームを通じて、会社の本当の健康状態を把握し、課題解決に動き出す良い機会となります。
2.現経営者の「勘」は引き継げない
現経営者には長年の経験から得られる「勘」があります。
どんぶり勘定でも現経営者の頭の中にある損益は意外と当たっているケースが多いのに驚かされます。
それ以外にも、「このタイミングだ」「ここで設備投資すべきだ」といった、経験に基づいた鋭い「勘」が現経営者にはあります。
しかし、残念ながら、この「勘」はそのまま後継者に引き継ぐことはほぼ不可能です。
「勘」に頼った経営を続ける限り、後継者は意思決定の基準を持てず、承継後の事業継続が不安定になってしまいます。
3.「勘」を見える化し、仕組みとして支援する
私が事業承継支援で目指してきたのは、現経営者の「勘」を「見える化」させることです。
これまで続けてきたどんぶり勘定を、数値として見える化させることが承継後の健全な経営につながると考えています。
現経営者は、経験から「どこで利益が出ているか」を直感的に知っています。
しかし、後継者にはその「勘」をそのまま引き継ぐことは不可能です。
論理的に示す方法で渡す必要があります。
脱どんぶり勘定のタイミングとして事業承継は絶好の機会なのです。
そして、それには「正しい会計データ」を活用した分析が必要となります。
私は税務申告のためだけの会計データではなく、意味のある会計データを作る支援をしています。
クラウド会計をただ便利なシステムとするのではなく、うまく活用して利用できるデータを作ります。
その利用できるデータを活用して儲けポイントと損失ポイントを見える化させ、経営判断に生かせるようにする支援をしています。
4.まとめ
事業承継は会社をリフォームするチャンスです。
顧問税理士としてではなく、外部専門家として事業承継支援させていただく機会も多くある中で、顧問税理士の役割が私の中で明確化されてきています。
色々な税理士がいるわけですが、良い税理士と良くない税理士がいます。
現実として、ただ会計データを入力するだけの顧問税理士がまだまだ多いことに驚かされています。
今回の勉強会では、顧問税理士がなすべき役割と、顧問税理士だからこそできるその先のコンサルティングが明確化できた良い機会でした。
今現在の顧問先様、そして未来の顧問先様に、少しでも貢献できるよう尽力していきたいと改めて感じました。
【編集後記】
約一年ぶりのブログとなりました。
久しぶり過ぎて書き方を思い出すのにちょっと時間がかかりました。
これからたまには更新していきたいなと思っていますが、次はいつになるのか、、、
【家族日記】
最近は健康のために毎朝お散歩をしています。
休みの日は子供たちも起きてきて一緒に歩くこともあります。
朝日に向かって歩くのは何とも言えない気持良さ。
子供たちと歩いていると、色々なお話もできるのでとても貴重な時間に変わります。
これからもこのような時間を大切にしていきたい。
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